-
新着情報 2021年9月9日
-
- 秋の足音が少しずつ聞こえ始めた今日このごろ。涼しげな「水辺の出合い盃」シリーズに変わり、「月下の遊び杯」シリーズが食卓でそろそろ活躍する季節となりました。今年の中秋の名月は9月21日だそうです。満月が輝く下で2匹の兎が愛らしく跳ねる様子を楽しむことができる作品「月下の遊び杯 満月下・二兎の跳ね宴」に、お気に入りの日本酒を注いで、満月をしみじみと眺めてみてはいかがでしょうか。夜空に浮かぶ満月を手元に映し出したかのような幻想的なガラス杯に、きっとご満足いただけるでしょう。「月下の遊び杯」シリーズには他に半月、三日月、新月を描いたガラス杯があり、鶏、猫、鶴の動物たちの物語をお楽しみいただけます。
-
お知らせ 2021年7月26日
- 2021年7月26日より、作品のご提供予定時期を「ご購入から1カ月以内に発送」へと変更させていただきました。どうぞご了承ください。
-
目を楽しませる水辺と月下の景色
-
-
- 夏の食卓で目を潤してくれるのが涼やかなガラス器です。兵庫県姫路市で漆芸家として活躍する江藤雄造(えとうゆうぞう)さんの新作シリーズは、酒器はもちろん、茶器や小鉢としてもお使いいただける逸品です。「水辺の出合い盃シリーズ」ではぐい呑形のガラス盃に漆絵で、愛らしい金魚やおたまじゃくしが桜や青紅葉、柳、花火、骸骨、蛙と出合う物語を描きました。これらを眺めるうちに、自分自身の夏の思い出までもがふと蘇ってきそうです。「月下の遊び杯シリーズ」ではチャイグラス形のガラス杯に蒔絵で、新月、三日月、半月、満月の下で繰り広げる鶴、猫、鶏、兎の物語を描きました。お月見を楽しんでいるのは人間だけではありません。そんな動物たちの本音が聞こえてきそうです。
-
光の屈折によって拡大されて見える漆絵と蒔絵
-
-
- この新作シリーズの魅力がさらに発揮されるのが、冷酒や冷茶などを注いだ瞬間です。水の中では光の屈折によって物が拡大されて見える現象が起きます。酒は水よりも屈折率がわずかに高いので、この現象が増幅されます。「水辺の出合い盃シリーズ」では桜や青紅葉、柳、花火が池や堀、水槽などに浮かんだり映ったりし、その中を金魚がスイスイと泳いでいるように見えます。金魚はガラス盃の胴や底の至るところに描かれていますので、ぜひさまざまな角度から眺めて、覗き込んでみてください。「月下の遊び杯シリーズ」では月と動物が向かい合って描かれています。動物側から眺める月の表情、月側から眺める動物の姿を、ガラス杯を回転させてお楽しみください。こちらも冷酒や冷茶などを注いだ際に変化に富んだ景色を確認できます。
-
-
独自技術で鮮やかな漆絵と蒔絵をガラスに施す
-
- これらの絵を描くのに発揮されたのが、江藤さんが持つ異彩・超絶の漆芸技術です。まず、漆絵に使用したのは本漆に顔料を加えた色漆です。漆といえば木地に塗るのが一般的ですが、江藤さんはガラスやアクリル樹脂などの透明素材に塗って独自の作風としています。そのため漆をガラスに密着させるために下処理をして焼付した後、独自に編み出した特殊加工を施して漆の剥離を防いでいます。さらに色漆を鮮やかに発色させるため、その日の温度や湿度をこまめに確認し、漆の調合や練り方、乾燥法を随時変えて、きめ細かな発色調整を行っています。漆はゆっくり乾くほど色が鮮やかになる傾向があるため、乾く速度をコントロールしているというわけです。
-
-
- また、蒔絵に使用したのは金箔とプラチナ粉です。これらも同様に下処理と焼付後、特殊加工を施して漆でガラスに密着させています。さらにガラスの持ち味を生かし、裏表のどちらから見ても金色とプラチナ色に見えるよう工夫したことも特筆すべき技法です。
-
金魚をきっかけに漆工芸への興味を誘う
-
- 漆芸家として活躍する江藤さんは、現在、アートとしての漆絵創作にも力を入れています。主にガラスやアクリル樹脂板を使って漆絵を施すのですが、そこでよく採用するモチーフが金魚です。なぜ、金魚なのでしょう? 江藤さんはこう話します。「20〜30代の若い人たちが漆工芸や漆器に興味を持つ機会が減っています。そこで私はまず小さな子どもに興味を持ってもらおうと考えました。子どもが興味を持てば、その両親も自然と興味を持ってくれるはず。子どもが好きなのは何だろうと考えた際、金魚が思い浮かびました。自分自身を振り返っても、自分の子どもを見ていても、子どもは縁日での金魚すくいが好きなんですよね」。同じ観賞魚でも吉祥文様としてよく用いられるのは鯉ですが、「鯉よりも金魚の方が親しまれやすい」と江藤さんは解釈。金魚の群を円相にして描いたり、縁起物の桜や紅葉、蓮などとともに描いたりしてきました。
-
- ガラスやアクリル樹脂板などを使用する理由は、光が当たると漆絵の影が印象的に現れるためと、面の表裏に描いたり、面を重ね合わせたりすれば立体的で奥行きのある絵へと変化させられるためです。こうした手法で江藤さんはいくつもの美術館やギャラリー、イベントなどで漆絵をアートとして展示し、多くの人々を魅了してきました。
-
家業を手伝いながら漆工芸の道へ
-
- 江藤さんが漆芸家になったのには、両親の仕事が影響しています。実は江藤さんの父は蒔絵師、母は彩色師で、仏壇製造の一端や神社仏閣の修復などを担ってきました。子どもの頃から絵を描くことやもの作りが好きだったという江藤さんは、両親の仕事を手伝ううちに漆工芸の道へと進みました。江藤さんは高校を卒業後、まず和歌山県の師匠の下で根来塗(ねごろぬり)を教わり、同時に父から蒔絵と螺鈿(らでん)を学び、その後、香川県漆芸研究所で沈金(ちんきん)や籃胎(らんたい)漆器、彫漆(ちょうしつ)を習得し、神奈川県の師匠の下で乾漆(かんしつ)を教わったと言います。こうして全国各地に伝わるさまざまな漆芸技術を身に付けたからこそ、江藤さんは漆絵をアートとして豊かに表現できるようになったのです。その活動が広く認められ、レクサス主催のプロジェクト「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2018」で兵庫県の「匠」にも選ばれました。
-
金継ぎ教室や重要文化財の修復にも携わる
-
- 漆芸家として活躍する半面、江藤さんには金継ぎ教室の先生という一面もあります。教室では金継ぎと漆塗りを教え、依頼があれば漆器などの修理も請け負っています。そして江藤さんが大事にしているもう1つの活動が、両親も携わってきた神社仏閣の修復です。中には重要文化財に指定された神社仏閣もあり、何百年も前の建物や仏像を修復し、また何百年も先につなぐことの意義を深く感じていると言います。神社仏閣は日本の伝統技術を将来に残すための媒介でもあるわけです。江藤さんの異彩・超絶の漆芸技術は、こうした修復活動においても磨かれてきました。
-
意と匠研究所がサポート
-
- 意と匠研究所は、これまでも、これからも挑戦を続ける江藤さんを応援していきます。ここでご紹介する作品の売り上げの25%をいただき、江藤さんの活動や作品について取材や原稿執筆、写真撮影、編集などを丁寧に行い、また新規開発に対してもアドバイスを適宜行っていきます。
-
先着10名様に漆絵コースターをプレゼント
-
- 特集「異彩!超絶!!のジャパンクラフト」だけの特典として、作品をご購入いただいた先着10名様に、江藤さんが描き下ろした漆絵コースターをプレゼントいたします。この漆絵コースターには愛らしい赤い金魚6匹が半円状に描かれています。「水辺の出合い盃シリーズ」「月下の遊び杯シリーズ」ともに、この漆絵コースターに載せてお使いいただけます。
※作品1点につきコースター1枚を差し上げます。
◉2021年7月5日12時24分をもちまして、ご購入者が先着10名に達しましたので、「漆絵コースター」プレゼントは終了させていただきます。ただしクラウドファンディングはまだ続きますので、引き続きご愛顧をよろしくお願いいたします。 -