「バチが当たります!」から始まった

北村森(プロジェクト監修「ものめぐり」代表)

    • 世界最高の寝ごこちになるかも

    • 中国の新疆ウイグル地方で栽培され、数年に一度しか採れず、しかも織るのも困難を極める極細の綿紡績糸「300番手単糸」……。実際に織るのに成功したのは、今のところ、世界でただ1社、日本の福田織物(静岡県掛川市)だけといいます。同社は、小さな町工場でありながら、欧州の名だたるラグジュアリーブランドが取引を望むほどの実力派企業なのです。

      少し引っ張っただけで切れてしまう。それほどに繊細な糸で織り上げた生地は、透けるほどに美しく、優しい肌触りはシルクやカシミアをも超え、春風をまとっているかのようです。

      福田織物は、この貴重極まりない「300番手単糸」の生地を、女性用のストールとして限定販売していました。

      でも、それだけではもったいない。しかも聞けば、この超極細の糸を織る過程で、わずかなヨレなどがどうしても出てしまい、ストールとして商品化できない生地が6割も残っているらしいんです。
    • その残った6割、どうするか。

    • 「ブランケットにしましょう」。これが私たちの結論でした。この「300番手単糸」の生地は、肌に直接触れてこそ、その奇跡とも言いたくなる風合いが体感できます。ならば、使う人に裸のままで寝てもらい、贅沢に尽きる寝ごこちを我が物にしてもらえれば……。

      福田織物の社長は、最初は色をなして反論しました。「そんなことしたら、バチが当たります!」。それはそうですね。同社の職人が「もう二度と織りたくない」とこぼすほど、完成までには過酷なほどのハードルを乗り越えた生地ですから。

      しかし、社長はこうも言いました。「でも、これをまとって、寝てみたいなあ……」。

      穏やかな風にくるまれるような触感、そして“世界で最も軽い寝具”の座を競うかもしれないと思われるほどの仕上がり、なにより、吸水性にも速乾性にも長けている素材の持ち味が活かされます。
    • 今回作ったのは、ブランケットだけ?

    • いや、赤ちゃんもつつんでしまいましょう。同時に乳児向けのおくるみも完成させました。

      世界で唯一のこの生地、次にいつ作れるかわからないそうです。「300番手単糸」が今度いつてに入るか、全く見当がつかないから。

      ブランケットはご自分で使うのもいいですし、親御さんなどに贈るのにも最高と思います。掛け布団や毛布が重いと感じる年配の方は少なくないようですからね。いま「未来ショッピング」で申し込めば、クリスマスプレゼントに間に合います。

      赤ちゃんのおくるみ、これはもう、ご出産祝いでしょう。友人数人でお金を出し合っての贈り物として、まさに唯一無二のものになるかと思います。
    • プロジェクトを見る:「裸のままで、まとってほしい。世界でただひとつ、「300番手単糸」のブランケットを作る」