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物語がある「読む器」とは?
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- SHOWKOさんがプロデュースするブランド「SIONE」のコンセプトは、「読む器」。ヒントにしたのは、実家が営む茶陶の窯元のもの作りでした。茶事では亭主が種々さまざまな茶道具を取り合わせ、その時だけのテーマや物語を構築して客人を招きます。そんな茶道に見られる文化を未来にもっとつなげていく必要があると痛感したSHOWKOさんは、使い手に「物語がある器を提供したい」と考えるようになりました。器自体に物語を込めれば、ただ料理を盛るという用途だけでなく、「今日は天気が良いから、この器を使ってみよう」などと日々、思いを巡らすきっかけとなり、豊かな暮らしを送る一歩となるのではないか。そんな考えから「SIONE」を立ち上げました。ブランド設立後、SHOWKOさんが最初に取り組んだのは物語作り。自身が好きだというSFをベースに、第0章から第4章までの物語を書き上げ、その一節一節を絵に起こすという異彩・超絶な表現方法を築き上げました。
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「メロディを読む器」に挑戦
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- その後もショートストーリーを書き下ろしてさまざまなシリーズ展開を行ってきたSHOWKOさん。レクサス主催のプロジェクト「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2017」で京都の「匠」に選ばれるなど人気を博します。その一方で、「海外で物語を伝える際に伝わりづらい」というもどかしさを抱えてきたと言います。そこで言語に代わるものとして音楽に着目し、この度、Adagio(アダージョ)シリーズを誕生させました。「これはメロディを読んでもらう器。人々の共通言語として音楽をとらえました。楽曲を聴いてさまざまな感情が湧き上がることはもちろん、音楽家がその音楽に込めた思いや文脈なども物語の一部になるのではないかと思います」とSHOWKOさん。一般的に、芸術は空間芸術と時間芸術に大きく分けられます。空間芸術は絵画、彫刻、建築など、時間芸術は音楽、舞踏、詩などです。こう前提した場合、Adagioシリーズは器という空間芸術に、音楽という時間芸術を封じ込めた画期的な作品と言えるのです。
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第1弾のテーマは「集い」
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- 実は今年、SHOWKOさんはある思いに駆られました。「世界中でパンデミックとなり、人と人とがリアルな場でなかなか会えない状況が続いています。こんな時だからこそ、心と心とをつなぎ留めておくものが必要。器はその役割を果たせるのではないかと思ったんです」。そこでAdagioシリーズ第1弾のテーマを「集い」に定めました。このテーマには集いたくても集えない人々の切なる希求も込められています。例えばAdagioシリーズの小振りな碗とミニカップがいずれもペア作品であるのには理由があります。片方には楽曲の前半が描かれており、もう片方には後半が描かれているのです。家で夫婦やカップル同士でこれらを仲良く使うのもいいし、または遠く離れて暮らす家族や恋人など大切な誰かを思い、片方は自分の手元に、もう片方は大切な人に贈るのも素敵です。
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力強さを感じる「交響曲第9番」作品群
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- ベートーベンの「交響曲第9番」第4楽章は「歓喜の歌」の題名でも知られています。合唱をともなう交響曲として有名で、日本では年末になると至るところで演奏されるため、この楽曲を聴くと「年末だなぁ」と感慨深くなる人も多いでしょう。年末は家族や親族が集う時期であり、また「よいお年を」と挨拶して別れる風習にも、人と人とのつながりをしみじみと感じさせます。この作品群では五線譜をねじるように描き、さらにネムノキの葉を添えました。ネムノキの花言葉は「歓喜」。幾何学模様のようにも見える力強い作品群に仕上がりました。
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音が清らかに流れゆく「愛の挨拶」作品群
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- シンプルだけど、甘美ではかないメロディが魅力の「愛の挨拶」。これは音楽家のエルガーが自分の婚約者へ贈った曲だと言われています。当時、ピアノやバイオリンのレッスンで生計を立てていたエルガーは、教え子である上流階級の娘と恋に落ち、周囲に強く反対されながらも結婚を果たしました。この作品群ではより抽象的な表現に挑みました。まるで風にたなびく羽衣か川の流れのように五線譜を描くことで、音楽が清らかに流れていく様子を表しています。また人々の集いの場である、結婚式のブーケによく利用される小さな青い花のブルースターを所々にあしらい、華やかさを加えました。ブルースターの花言葉は「幸福な愛」。結婚を控えたカップルや、男性から女性へのプレゼントにも最適な作品です。
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月が象徴的な「夜想曲第2番」作品群
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- 全21曲あるショパンの「夜想曲(ノクターン)」の中で、もっとも有名な楽曲と言えば第2番でしょう。静かでしっとりとしたメロディは、まさに夜の黙想を連想させます。遠く離れて暮らす家族や恋人、またなかなか帰れない故郷を独りでしみじみと思い耽るのに最適な1曲です。この作品群では、そんな静かな月夜を思わせる風景を映し出しました。口縁には大きな金色の月が顔を出し、それに沿うように五線譜が湾曲して描かれています。その様子はまるで月光のよう。ボードプレートの裏面にはショパンが愛したスミレの花が描かれているので、ぜひ見つけてください。
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京焼と有田焼とを合わせた新しいスタイルを築く
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- 京都で330年続く茶陶の窯元「真葛焼(まくずやき)」に生まれたSHOWKOさん。言葉に魅力を感じ、大学で日本文学を専攻しますが、その後は焼物の道に進もうと決心し、専門学校で陶磁器の釉薬と絵付の技術を学びました。さらに実践で絵付を学ぼうと、京都をいったん離れ、有田焼の陶板画作家に弟子入りしました。佐賀県武雄市の豊かな自然環境に心を洗われたSHOWKOさんは、ただひたすら修行に邁進し、3年間を過ごしたと言います。京都に戻り、自身の作品作りを模索するうちに、今度はデザインを学んでみようと思い、デザイン事務所に就職。言わば第2の修行を続けながら、同時にブランド「SIONE」の構想をゆっくりと温めていき、満を持して独立しました。
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- 「SIONE」の器の素地は、修業先だった有田焼や近隣の波佐見焼の工房や職人たちとSHOWKOさんとが協働して製作したもの。そのキメの細かい白磁がもっとも生きる表現方法として、金彩をメインにした絵付を京都で施しています。つまり両産地の特徴を組み合わせた、新しいメイド・イン・ジャパンの器として「SIONE」を提案。まるでアール・ヌーヴォーを思わせる流麗な細密画も大きな魅力となっています。
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意と匠研究所がサポート
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- 意と匠研究所は、これまでも、これからも挑戦を続けるSHOWKOさんを応援していきます。ここでご紹介する作品の売り上げの23%をいただき、SHOWKOさんの活動や作品について取材や原稿執筆、写真撮影、編集などを丁寧に行い、また今後の新規開発に対してもアドバイスを適宜行っていきます。
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先着10名様に特製八ツ橋をプレゼント
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- 特集「異彩!超絶!!のジャパンクラフト」だけの特典として、作品をご購入いただいた先着10名様に、聖護院八ツ橋総本店特製の「SIONE八ツ橋」をプレゼントいたします。SHOWKOさんがデザインした絵柄2種と「SIONE」のロゴが焼印された焼き八ツ橋3枚入りが6袋入っています。Adagioシリーズのボードプレート作品に載せてお召し上がりいただけます。お茶請けにぜひお楽しみください。
※プレゼントはお一人様1点とさせていただきます。お一人で複数個の作品をご購入された場合にもプレゼントは1点となります。
◉2021年1月6日をもちまして、ご購入者が先着10名に達しましたので、「SIONE八ツ橋」プレゼントは終了させていただきます。ただしクラウドファンディングはまだ続きますので、引き続きご愛顧をよろしくお願いいたします。 -