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新着情報 2020年9月16日
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- 最近、電子マネーを利用して買い物する人が増えました。交通系ICカードやQRコード決済など、どれも便利ですよね。そうなると持ち歩く現金が自然と減り、財布も小さなもので済ませられるようになってきました。革職人の小野里健一さんが開発した「ちっ財布」は、その名のとおり、小さいことが最大の特徴。手のひらに収まるサイズながら、ボタンを外すと広い口が現れ、小銭の出し入れがストレスなく行える優れものなんです。もちろんお札も畳まずに外側のポケットにするりと滑り込ませられます。そのスムースさと来たら、一度、使ってみてこそ分かるでしょう。
イタリアンレザー特有のブルーやグレージュなど絶妙な色合いがそろうほか、迷彩柄まであるのでおしゃれ小物としても楽しめます。近所へのお出かけには、小さなバッグに「ちっ財布」とスマホだけ入れておけば事足りますね。 -
「選ぶ」のではなく「作る」という選択
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- 「conote(コノテ)」とは、「この手から子どもの手に」という意味を込めたキット名。愛するわが子や孫に、自分の手でランドセルを作って贈るという素敵な製品を考案したのは、群馬県高崎市に工房兼ショップ「雨ザラシ工房」を構える革職人の小野里健一さんです。LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2018で群馬県の「匠」に選ばれたことを機に、小野里さんはランドセルキットに挑戦しました。「今、高いものから安いものまでいろんなランドセルが市場にあふれていて、いくらでも選べるのですが、そこに作るという概念はありません。だったら、あえて作るという選択肢を提供しようと思いました」と小野里さん。とはいえ、購入者が途中で挫折してしまっては元も子もありません。やり遂げたい気持ちがあれば誰でも完成できるよう、小野里さんは異彩・超絶な工夫を凝らすことで、難易度を極力下げたキットを開発しました。これは作る行為を皆で共有できる半製品なのです。
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タイムカプセル的な隠しポケットを仕込む
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- 「そもそもの発想は、ランドセルの収納部の前板(大マチと小マチとを仕切る板)に隠しポケットを設けようと思ったことから」と小野里さんは話します。その薄い板状の隠しポケットに、6年後の自分に宛てた手紙や親から子へ宛てた手紙、写真などを収納して糸で閉じ、小学校を卒業する時に、糸を解いて隠しポケットを開け、中身を見るという異彩・超絶な仕掛けを考えたのです。言わば、それは小学生が毎日持ち歩くタイムカプセルのようなもの。この心温まるアイデアから始まり、全部を手作りするランドセルキットの開発に至りました。隠しポケットは、まさに手作りだからこそできる特別な仕掛け。もしあなたが子どものためにランドセルを作るなら、何を収納したいですか?
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1日2時間の作業を続けて約1カ月で完成
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- ランドセルキット「conote」の主要パーツは約25点。背当てや肩ひもに緩衝材のスポンジを入れるなど、難易度が高い工程に関しては、複数のパーツをあらかじめ組んで1つのパーツにしている点が特徴です。前段ポケットに小マチ、収納部の前板を順に付け、さらに大マチを取り付け、前締めをし、背当てとかぶせを取り付け、最後に肩ひもを付けるという順番で組み立てていきます。一針一針ステッチを手縫いしたり、金具を打ち込んだりする工程もあり、ハンドメイドならではのやりがいや達成感を楽しめます。1日2時間程の作業を行えば、約1カ月で完成するよう設計されています。
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- また購入者向けに、小野里さんはランドセルの製作方法と手順を懇切丁寧に解説した動画をYouTubeにアップし始めました。全工程を順にまとめた解説動画が全27本あり、2020年9月中旬までに随時アップしていく予定です(合計再生時間は約16時間)。この解説動画を見れば、初めて取り組む人でも安心。参考までに最初の工程1本をご紹介します。他の解説動画については、チャンネル登録してご覧ください。
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6年を通して経年変化を楽しんで
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- 「conote」は黒、赤、キャメルの3色で、いずれも国産のヌメ革を使用しています。ヌメ革とは植物の渋み成分であるタンニンでなめした皮革のことで、自然な風合いや滑らかな手触り、皮革本来の豊かな表情などが見られます。繊維の目が詰まっているので丈夫ですが、表面加工が施されていないので傷が付きやすく、また水に濡れるとシミになるという特徴もあります。「使ううちに、色もだんだん濃くなっていきます。使いながら変化すること、味わいが増すことに価値を見出してほしい」と小野里さんは訴えます。本体には牛革を使用し、背当てと肩ひもの裏面には北海道産の鹿革を使用しました。鹿革は柔らかく、また吸水性と吸湿性に優れるため、汗をかいても蒸れにくいという点で、子どもの身体に触れる部分には最適な素材なのです。
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大人にはアコーディオン形のミニ財布を
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- 今回はランドセルキットの他、「雨ザラシ工房」の定番製品である「ちっ財布」もご紹介します。上質なイタリアンレザーを使った従来品の他、「conote」と同じ黒、赤、キャメルの3色の国産革と生成り糸を使った特別仕様も加えました。つまり子どものランドセルと同じ素材の財布を、両親や祖父母も持つことができるというわけです。これは蛇腹のマチを持つアコーディオン財布を応用したミニ財布で、小さなバッグにも収納しやすいのが特徴。蓋を開けると、出し入れしやすい小銭入れが現れます。小銭入れの外側にはお札を畳まずに入れられる貫通ポケットが備わっており、その間にはカードケースが1つ付いています。見た目以上に収納力が高いので、日々の買い物に最適。ぜひ子どものランドセルとおそろいの素材の財布を持ってみませんか?
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革好きから始まった革職人への道
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- 小野里さんは、高校時代から群馬県内の革かばん専門店に足繁く通い、革への興味をふつふつと募らせてきました。高校卒業後は建築施工会社で現場監督の仕事に就きますが、1年半後に革かばん専門店へ再就職しました。店では販売に加え、革かばんの修理部門を立ち上げることになり、小野里さんを修理職人として迎えたのです。それまで趣味やアルバイトでミシンを踏んだ経験が多少あったものの、革かばんを扱うことは小野里さんにとって初めて。それでも「修理は元に戻すことがゴール」という考えの下、独自に経験を重ねながら力を付けていきました。その後、都内のメーカーが主催する教室に通い、革かばん作りの基本を学び、オーダーメード部門にも携わるようになりました。そして独立後、小野里さんが目指したのは「つくり手の見える工房」でした。オリジナル製品を作り販売することと、小野里さんの原点である修理とを今も事業の主軸にしています。
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意と匠研究所がサポート
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- 意と匠研究所は、これまでも、これからも挑戦を続ける小野里さんを応援していきます。ここでご紹介する製品の売り上げの20〜25%をいただき、小野里さんの活動や製品について取材や原稿執筆、写真撮影、編集などを丁寧に行い、また新規開発に対してもアドバイスを適宜行っていきます。
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