コスト、マーケティングを度外視。
- そのスピーカーは、普通に考えれば、倉庫の奥でほこりをかぶったまま、静かに消えていくべきものでした。70年にわたってスピーカーをつくり続けてきたオンキヨーの社内にあってすら、理解を超える。「これ、いったいなんなんですか?」「どうやって売ればいいんですか?」そんな意見すら出ました。コストも、マーケティングも度外視した、異端のスピーカーだからです。
「いや、これはおもしろい」副社長の一言がなければ、きっと、こうして世に出ることはなかったでしょう。
スピーカーではなく、あらゆる音を奏でる、楽器。
- 開発したのは、一人の技術者。明確な指標があったわけではありません。心を震わせる音を鳴らすために、ただ純粋に技術を突き詰め、ひとつのパーツが完成するごとに、そのパーツを活かすことのできる、次のパーツを模索しました。技術を重ねた先に、はっきりと見えてくるものがありました。このスピーカーでなければ表現できない、音の世界。たどり着いたのは、筐体に和楽器で使われる「桐」を採用し、スピーカー全体で音を鳴らす、いわば「楽器」のスタイル。それが、日本人の耳に、心に、深く心地よく響く音を奏でたのです。
日本人独自の音の感性。音から広がる想像。
- 日本人と欧米人とでは、音に関する感覚が大きく違うと言われています。同じ虫の声を聞いても、欧米人はノイズとして認識し、日本人は風情を見い出す。日本人は音を単なる音としてとらえるのではなく、その音が生まれている情景を彩り豊かに想像するのです。地面を叩く雨の音。吹き抜ける風に、葉がこすれ合う音。木々から降りそそぐような鳥の声。夏の暑さを連れてくる蝉の声。秋の訪れを告げる鈴虫やコオロギの声。自然界は様々な音であふれています。日本人には、そのひとつひとつを美しいと感じ、楽しむ感性が備わっています。
音だけでなく、その空間を生々しく再現する。
- どのような音楽を聴いても、日本人はその特別な感性に基づいて音楽を「感じて」いるはず。その感性に響く音を鳴らすには、自然の音や、アーティストが奏でる音、そのありのままを、生々しく再現することが必要だと考えました。それは、原音を細部まで、忠実に、極限まで再現すること。実は、音というものは、複数の複雑な音が重なってできています。中には、人間の耳ではとらえられないような音も含まれます。それさえも切り捨てず、すべて再現したい。そうすることで、自然の息吹や、アーティストの感情の動きさえも再現した「生きた音」が生まれる。それにふれたとき、日本人は、音の生まれる空間をまざまざと想像し、全身で音を感じるのです。
雑じり気のない振動。澄みきった音。
- 自然の、ありのままの音をいかに再現しきるか。技術者は、それを目標として考えていたわけではありません。ひとつの振動板が完成したことで、その音を実現する手がかりがつかめたのです。原音に限りなく近づくための、雑じり気のない空気振動。軽さと高い強度を両立させた振動板でした。
材料は、鋼鉄の1/5の軽さで、5倍の強度を持つ「セルロースナノファイバー」。和紙の原料である「楮(こうぞ)」。そして、針葉樹パルプ材。軽やかに振えながらも、その強靭さで、音を濁らせる余分な振動を生み出さず、純粋な音が鳴り響きます。
自然界に存在する天然素材を使用。
- 振動板の表面には、楽器の製造にも使用される天然の接着剤「にかわ」をコーティング。根元部には、400年の伝統を誇る奈良の老舗・株式会社古梅園でつくられた、桐の油煙炭を原料とした高級墨「桐油煙墨」を手塗することで雑音の比率を低減。砲弾型のイコライザーには高い硬度を持つ天然木の「ローズウッド」を使用し、低歪化をはかりました。
扱いが難しい天然素材を用いたのは、可能な限り自然界に存在する素材を使うことで、 生み出す音も自然に近づくと考えたからです。桐スピーカーは、均一な工業製品を目指しているわけではありません。自然素材が持つ、人の制御が及びきらない部分も、自然の音を表現するための深みになるのです。
聞こえない音まで再現したい。
- 振動板が完成したことで、筐体が問題になりました。この振動板から発された音を、最も活かせる筐体のあり方とは。技術者には、どうしても表現したい音がありました。倍音と呼ばれる、音色を生成している音です。ひとつの音は、実は複数の音から成り立っています。最も低い音を基音、それ以外の音を倍音と呼びます。「生きた音」を再現するには、倍音まで表現することが必要でした。そのため、音を自然に、自由に響かせる筐体をめざしました。
本来、スピーカーは、振動板から発せられた音に濁りを与えないよう、筐体が振動しないようにつくられます。それを、あえて振動させよう。スピーカー自体を、鳴らしてしまおう。そして、スピーカーは楽器へと変貌をはじめました。
和楽器に学ぶ。美しく響きわたる。
- 筐体自体が美しく音を奏でるためにはどうすればよいか。まず必要なのは、より良く音を響かせる素材でした。無数の素材を集め、試作し、日本伝統の「和楽器」にたどり着きました。琴や琵琶の材料として用いられている「桐」です。桐は多孔質で、音響性に優れています。ギターなどに用いられているマホガニーなどと比較しても、音がよく響く材質でした。
音の響きをコントロールする、日本の技。
- しかし、桐を使用することで新たな問題が生まれました。音が響きすぎるのです。楽器は、特定の音だけを奏でれば良いもの。しかし、スピーカーはあらゆる音を再現できなければいけません。響きすぎれば、音同士がぶつかって打ち消しあい、本来響かせたい音が出なくなってしまいます。そこで、筐体の内側に特殊な加工を施しました。
内部を放物線状にすることで固有の振動を分散。さらに、側板に、和太鼓に使われる「網状鱗彫り」を施し、厚みを連続的に変化させることで内部での反射音が濁らないようにし、その音をそのままスピーカーの側面から外へと響かせています。音楽に関する日本のモノづくりの技を駆使することで、響きをコントロールし、存分に活用しています。これが、このスピーカーを楽器と呼ぶ理由です。
このスピーカーが目の前で音を鳴らす時、不思議な感覚が訪れます。スピーカーが鳴っている、そこから音が来ている、という感じがしないのです。それは、空間に自然に音が広がっている、その証拠です。
「楽器」スピーカーの足場を整える。
- 桐スピーカーは、専用の台座をご用意しています。高さを確保しながらも、スピーカーの振動を阻害せず、自然に、自由に、スピーカーが音を奏でられるよう設計しています。素材は、堅くてしなる特性を持つ北米産タモ材。日本のギターメーカー、株式会社高峰楽器製作所の提携工房で製造しており、ギターのネック部と同じ加工を施すことで強度を上げ、不要な振動の影響を受けないようにしています。
井上 岳(いのうえ たける)
オンキヨー株式会社 B2B本部 技術部 開発技術課
- 音に魂が宿っている、と感じられるくらい、音を自然に、ありのままに感じられるスピーカーがつくりたかった。言霊という言葉があるように、このスピーカーには「音魂」を宿らせたいと思ったのです。
桐スピーカーの音を表現するとすれば、「ロスレス」です。振動板から放たれた音から、自然の息吹や、アーティストの感情が少しでも欠け落ちてしまってはいけない。その場にいるように、ありのままに、音だけでなく空気や気配まで再現する。そこに、たくさんの人の心を揺り動かす力が生まれるはず。そんな想いを込めて、このスピーカーをつくりました。
やわらかく、美しく、空間に調和する。
- 古来から、下駄や箪笥など、日本の暮らしの中にあった桐。なめらかで木目が美しく、灰白色のつややかな色をしています。日本らしさが生きた、細やかで清潔感のあるデザインは、様々なインテリアの中にあっても、調和しながら、涼しげに存在を主張します。和も洋も問わず、シンプルな部屋にも、アート空間にもとけこみます。
大きく見せる必要はない。最適なサイズであればいい。
- 桐スピーカーの寸法は、153(幅)x274(奥行)x289(高さ)mm。もっと大きくすることもできましたが、あえてこのサイズを選びました。スピーカーの命である振動板の大きさから逆算した、どんなスタイルにも合わせられるミニマルなサイズ感。その小さな体から大きく広がる豊かな音を、全身で感じてください。
東京八重洲で、桐スピーカーを体感できます。
- オンキヨー、パイオニア、ギブソン、ティアック、フィリップスの5ブランドがコラボレーションし、他にはないプレミアムな音の体験ができるGibson Brands Showroom TOKYOにて、8月8日から桐スピーカーを試聴できます。どれほど言葉を尽くしても、一回の体験に勝ることはできません。ぜひ一度足をお運びいただき、こだわり抜いた音にふれていただければ幸いです。
- (アクセス)
Gibson Brans Showroom TOKYO
東京都中央区八重洲2-3-12 オンキヨー八重洲ビル1F・2F
(JR東京駅/地下鉄銀座線京橋駅より徒歩約5分)
- ・ショールーム外観
- ・ショールーム1F
- ・ショールーム1F/「桐」体験コーナー
▶︎ショールームMAP(アクセスはこちら)
- 本商品のプレス向け内覧会を8/1(火)Gibson Brands Showroom TOKYO
にて開催しました。音楽専門誌やオーディオ専門店の方など、スピーカーを
知り尽くした方々からも、ご評価いただくことができました。 ”解像度が高く、一つ一つの音が鮮明なのに、柔らかい音”
”この大きさで、この音の広がりは驚き”
”音量を絞っても変わらず鮮明”
”ボーカルが特に素晴らしい”
桐スピーカー(本体・台座)+アンプ/CDプレイヤーセット +スピーカーケーブル+オンキヨー社スタッフによる設置(先着特典)
- 数量限定で、桐スピーカー(本体・台座)に加え、先着特典として
アンプとCDプレイヤーを、桐スピーカーのスタイルに合う、コンパクトで、高性能なものを選びセットでご提供いたします。
アンプについてはオンキヨーの社内にて、桐スピーカーに最適な状態にチューニングして、お届けします。 また、オンキヨー社のスタッフが自ら伺いますので、桐スピーカーの特長、スピーカーの音をより良く響かせるための工夫など、直接お話しさせていただきます。
存分に、桐スピーカーの「生きた音」をお楽しみください。
商品提供時期:2017年11月1日以降
設置対応範囲:日本国内(離島含む)
※ご購入後、オンキヨーよりご購入者様にご連絡し、設置の日時を確認させていただきます。
商品保証期間:3年間
※桐スピーカーは、スピーカー本体2台・台座2台のセットでのご提供となります。
「最良のものを、末永く愛用していただきたい」
- オンキヨーのこだわりは、この一言に集約されます。
単なる工業製品ではなく、人生のパートナーになりうるような、こだわりという名の魂を宿した製品をお届けしたい。そのためにすべてのテクノロジーを注ぎ込み、また、常に新しい発想を求め続けています。
そして、オンキヨーが考える最良のものとは、自然の音、アーティストの奏でる音を、そのまま響かせることができるものです。その思想は、70年を経た今も、変わることはありません。音を聞く人にとって、そしてアーティストにとっても、最良のものでありたい。だからこそ、オンキヨーでは、スピーカーの心臓部と言われる振動板から、自社で開発しています。
その思想が、常識を覆しながら形になったのが、今回のプロジェクト、桐スピーカーなのです。
- 業界を見渡せば、国内で製造を完結させているスピーカーメーカーは、少なくなってしまいました。しかし、やはり日本のモノづくりの奥は深く、高い技術を持った職人が強い意志を持って品質の向上に挑んでいます。また、伝統の中から驚くようなアイデアが生まれることもあります。
国内生産にこだわった、他ではつくれない製品を。
様々な音を、ありのままの「生きた音」として響かせる製品を。
この想いを象徴する、かつてないスピーカーをお届けできることを、うれしく思います。どうぞ音の本質に迫るこの製品に、ご支援をお願いいたします。