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- 私は笠沙の漁師、中尾雄作です。数年前まで笠沙漁協の組合長を務めていました。今ももちろん現役で船に乗っています。
- 笠沙の海は、東シナ海の終端です。それは美しい海で、たくさんの魚種が獲れるのですが……。実は、すさまじい質のボラが揚がることは、あまり知られていません。
ボラというと、どうしても身肉に匂いがついてしまっていて、あまり好んで食べられませんね。市場でも二束三文だったりします。ところが、です。 -
- 笠沙の海が綺麗で、そこを元気に泳いでいるからでしょうね、定置網に「特別なボラ」がかかるんです。そして私たち漁師はそれを密かに刺身で食べる。市場に出さずに、持って帰ってしまうほどなんですよ。甘みがあって、澄みわたっている、それはもうとびきりのボラです。ほかにはまず存在しないと思います。笠沙の豊かな海あればこそ、なんですね。
「そんなにすごいボラが上がるんだったら、超高級珍味である『からすみ』を作ればいいじゃないか」と思われる方、いらっしゃるでしょうね。
からすみは、ボラの卵巣を丁寧に取り出して、それに塩をしてから乾かして完成させるものです。とびきりのボラの卵巣なら、これまたとびきりのからすみが出来上がるはず、と……。 -
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- いや、実は、私たちの暮らす笠沙で漁業に携わってきた先人は、からすみをこしらえていたんです。第二次世界大戦のころまでは、笠沙のすごいボラの卵巣を使って、作られていた。でも、戦後すぐに途絶えてしまった。余裕がなかったのもあるでしょうし、からすみ作りは手間がかかるので、次第に、ボラの卵巣をそのまま長崎や東京に送ってしまうだけになってしまったんです。
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- そんなにすごいボラが揚がる港なのに、からすみ作りを「幻のまま」にしておいていいのか、という話です。
美味しいからすみを完成させるには、ボラの卵巣を旅させてはいけないんです。ボラを獲って、朝のうちにすぐさま加工場に届け、間をおかずにさばいて、塩をまぶす……。そのほうが、はるかに美味しくなる。
私たちは、ここ数年、笠沙発のからすみを復活させる取り組みを続けてきました。2016年には完売、翌年にはご提供する数を増やし……。さらにここで、「もっともっと特別な笠沙のからすみ」を世に送り出したいと決断しました。 -
どんなからすみを作るのか。
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- まず、ボラの獲り方から見直しました。ふつうの定置網で獲るのではなくて、「金庫網」という仕掛けを据え付けます。
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- 金庫網というのは一般的な定置網の100分の1くらいの小さな網なのですが、ボラのように元気に泳ぐ魚をしっかりと受け止められます。極上の魚が獲れるから「金庫」というんですよ。今回のからすみは、この金庫網にかかったボラ(つまり“とびきりのさらに上をいく”ボラ)を使います。
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- そして、先ほど言いましたように、「獲って、揚げて、すぐに仕込む」が肝心ですから、笠沙の港のすぐそば、海を臨む場所に、今回のために加工場を設けました。これなら、朝に届けて、その日にただちにからすみ作りに入ることができます。
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- からすみ作りを担うのは、笠沙の港に長年通い続ける、地元の名料理店「さつま亭」の主人、辻三次です。彼はみずからも漁船に乗るほど、この海の魚を知り尽くしていますし、笠沙でのからすみ作りが途絶えている間も、ごく少量ながら、からすみの製作に取り組んできた料理人です。
- つまり、こういうことです。
・笠沙にはとびきりのボラがいる
・さらに、とびきりの上をいくボラを今回獲るために「金庫網」を据える
・揚がってすぐ当日に仕込むために、港のそばに加工場を用意する
・製作するのは、からすみ作りを研究し尽くした地元料理人
ご支援いただく価格が高めで申し訳ないのですが、それでも名産地などで販売されている、同じ重さのカラスミと比べると、半値から3分の1ほどの値段ではないかと思います。しかも、先に触れたような「すべてにおいて特別なかたちで」を貫くことで、他にはないからすみを完成できること、お約束申し上げます。
今、私たちは、ボラを毎朝、懸命に獲り続けております。 -
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2020年を「黄金色の逸品」で迎える
- 私、地域おこしというのは、「足許にある宝物」を生かしてこそ成就する、と常々思っています。
「厚化粧、急ごしらえ、必然性なし」というのは禁物で、そこにすでに存在するものを大事にせねば、わざわざその地域でこしらえる意味がない。
笠沙のからすみ復活は、その意味で、とても意義あるプロジェクトだと感じるのです。そもそも、漁師たちがそっと刺身で食べるような、ものすごいボラが揚がっている港です。その事実を大切にするなら、そんなボラの卵巣を使ったからすみ作りは、まさに「必然の発想」でしょう。しかも、遠い昔ではあるけれども、からすみ作りが盛んだったというのですからね。 -
- からすみの試作現場に立ち会いました。それはもう、黄金色をした美しいからすみでした。口にすると、言葉を失います。ねっとりと舌を撫でで、そこから旨味が波のように迫ってくる。これは確かにまごうことなき極上物でした。
「よそにはまず存在ない特別なボラ」を、「金庫網という、これまた特別な網を使って、最極上のボラだけを狙って獲り」、しかも「決して遠くには運ばず、すぐにこしらえる」。そこまでやり通すと、どうしても原価は高くなります。
ただ、私見を申し上げますと、よその地で売られているからすみには、今回の笠沙のからすみの優に2倍はするものも少なくありません。今回は、漁師の中尾さんがまさに綴っているように、「考えうるすべての“最高手段”をとり尽くした」からすみです。そう考えると、私は(値段そのものは高値だけれど)、笠沙の人たちが精いっぱい提供価格を抑えてくれているのだとも感じています。
今回ご提供するものは、かなり大きなサイズのからすみです。その意味では、ゆっくりじっくり何度も味わっていただける分量をお届けすることになります。 -
魚介は旅をさせないほうが……
- 美味しいからすみ、私は仕事を通して、これまでも口にする幸運に恵まれてきましたが、笠沙のからすみは群を抜く存在であると断言できます。
魚種にもよるので、すべてがそうとは申し上げませんが、やはり、魚介は旅をさせないほうがいい。北海道・釧路のサンマ、石川・金沢のガスエビ、あるいは愛媛・愛南のスマ……。現地で食べる、そうした魚は格別でした。私はここに笠沙のボラも加えたい。刺身の味わいは相当なものでした。
加工品もきっとそうに違いありません。漁師の中尾さんが力説するように、笠沙で獲って、笠沙で仕込む。からすみを完成させるにあたって、これが大事なのだと思います。 -
ひと齧りで、酒がぐいぐいと…
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- お酒好きの方には心から勧めたいからすみです。ひとかじりで、日本酒がふた口も三口も、いやそれ以上に進みましたよ。おおげさではなく。
「自分は酒を嗜まないので……」という方へ。笠沙のみなさんからは贅沢過ぎるとたしなめられるかもしれませんが、このからすみを削ぐように小さく切りつけて、それを熱々のご飯に混ぜ込むと……すさまじい「からすみご飯」の完成です。ごくたまにはいいかもしれません、そんなすごい贅沢も。 -
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リターン(販売品)について
- ◆南さつま笠沙のからすみ 一腹 40,000円 <限定20個→漁獲と天候不順により限定12個→3個追加。限定15個>
※現在、漁の状況と天候不順により個数を変更させていただきます。
※1/7追記:漁の状況と天候回復により製造の目途が経ちましたので、個数を追加(3個)致しました。
※漁の状況により可能な場合は更に追加いたします。
・重量:約200g
・賞味期限:6ヶ月
・原材料:ぼらの卵巣(鹿児島県南さつま市産)、食塩
※食塩は南さつま市及び日置市吹上で生産されている鹿児島産の自然塩です。
・産地:国産
・包装:桐箱入り
◆南さつま笠沙のからすみ半腹 25,000円 <限定10個→一時休止→2個追加>
原料の「一腹」が約400g越えのものを半分にしたものになります。
重量としては「一腹」の約200gと同じ程度の重量になります。
※現在、漁の状況により原料の「一腹」が約400g越えるものが獲れないため取扱いを休止致します。
※1/14追記:漁の状況と天候回復により製造の目途が経ちましたので、個数を追加(2個)致しました。
※漁の状況により可能な場合は更に追加いたします。
・重量:約200g
・賞味期限:6ヶ月
・原材料:ぼらの卵巣(鹿児島県南さつま市産)、食塩
※食塩は南さつま市及び日置市吹上で生産されている鹿児島産の自然塩です。
・産地:国産
・包装:桐箱入り - 商品は次の製造業者から直接発送致します。
・発送業者(製造業者):さつま亭 代表 辻 三次
・所在地:〒897-0006 鹿児島県南さつま市加世田本町52-13
・連絡先:電話 0993-53-3395 -
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