<「源氏物語」の文化的な価値>
「源氏物語」の文化的価値について
- 日本文学のみならず世界文学においても最高峰の作品と評価される、紫式部による「源氏物語」。その価値は、単に構成や筋立てに優れた愛の物語というだけでなく、人間の生き方、倫理や宗教、美意識や苦悩に対する深い観察と抒情性に秀でたところにあります。
既に30ヵ国以上で翻訳され、世界中の文学に及ぼした影響は極めて大きく、日本が生んだ誇るべき長編小説として、広く世界で愛読されていることはいうまでもありません。残念ながら、紫式部の筆による「源氏物語」の原本は現存していませんが、「世界の記憶」登録に値する相当数の優れた写本が保存されています。さらに「源氏物語」は文学の枠に収まらず、絵画・調度品・衣服など美術工芸の分野にも大きな影響を与えてきました。特に絵画では、最古の源氏物語絵巻を筆頭に、源氏絵と呼ばれる日本の絵画史の上で、重要なジャンルを形成しています。
その誕生から千年を越え、あらためて日本が誇る文化を、世界と未来へ共有したい。ユネスコ「世界の記憶」登録基準に合う代表的写本と源氏絵を選び、2019年のユネスコ「世界の記憶」登録を目指します。 <ユネスコ「世界の記憶」について>
1.ユネスコ「世界の記憶」【Memory of the World (MOW) - 旧訳「記憶遺産」】とは
- ユネスコ「世界の記憶」は、世界遺産(自然遺産・文化遺産)・無形文化遺産と並ぶ、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の3大「遺産プロジェクト」とのひとつとして、1992年に開始されました。人類が長い間記憶して、後世に伝える価値がある歴史的記憶物を残すために。審査は2年に1回で、各国のユネスコ国内委員会を通じる申請は1ヵ国から2件以内とされていますが、別途、複数国の個人や団体が共同して直接ユネスコ本部に申請する国際共同申請という方式もあり、「源氏物語」はこの方式で申請を目指しております。国際諮問委員会(IAC)の勧告に基づきユネスコ事務局長が決定する国際登録のほか、ユネスコ「世界の記憶」アジア太平洋地域委員会(MOWCAP)などが決定する地域登録もあります。次回の国際登録は、昨年5月に申請が締め切られ現在審査中で、本年秋に結果が発表される予定です。「源氏物語」は2019年の国際登録を目指しています。
2.ユネスコ「世界の記憶」の目的
- ユネスコ「世界の記憶」は、普遍的価値を有する記録遺産(Documentary Heritage)について、その存在と重要性を後世に伝え残していくために以下を目的としています。
①最新の技術を駆使して保全する
②世界中の人々がアクセスすることを支援する
③記録遺産の存在や重要性について世界的な認識を高める 3.ユネスコ「世界の記憶」の対象
- 事件・時代・場所・人物・主題・形態・社会的に普遍的価値を持ち、人類が長い間記憶して後世に伝える価値がある歴史的記憶物を対象としています。具体例としては、手書き原稿・書籍・新聞・ポスター・図面・地図・音楽・フィルム・写真などが含まれます。
4.過去の主な国際登録例
- ・世界最古のコーラン(ウズベキスタン)1997年
・アンデルセンの原稿筆写本と手紙 (デンマーク)1997年
・グーテンベルク聖書 (ドイツ)2001年
・ベートーヴェンの交響曲第9番 自筆譜(ドイツ)2001年
・1789〜91の最初の人権宣言(フランス)2003年
・グリム童話(ドイツ)2005年
・リグ・ヴェーダ(インド)2007年
・オズの魔法使い(アメリカ)2007年
・アンネの日記(オランダ)2009年
・マグナ・カルタ(イギリス)2009年
日本の国際登録実績
・山本作兵衛による筑豊炭鉱の記録画 2011年
・慶長遣欧使節関係資料(スペインとの共同推薦)2013年
・御堂関白記 2013年
・東寺百合文書 2015年
・舞鶴への生還 2015年
・上野三碑 2017年(申請中)
・杉原リスト 2017年(申請中)
日本のアジア太平洋地域委員会決定の地域登録実績
・水平社と朝鮮・衡平社の交流 2016年 5.源氏物語 ユネスコ「世界の記憶」申請について
- ①申請方式
「源氏物語」は広く世界に影響を与えたことに鑑み、日本・米国・欧州の有力研究者などが委員となって組成する、源氏物語 ユネスコ「世界の記憶」登録推進委員会を申請者とする、国際共同申請方式とします。
②2019年登録を目指す申請記録物(案)
・源氏物語写本:紫式部の筆による源氏物語の原本は現存しませんが、学会で評価が定まっており、後世に与えた影響が大きい重要写本(複数)
・源氏絵:テキストに寄り添い、物語世界を豊かにした源氏絵 <「源氏物語」をユネスコ「世界の記憶」に登録申請するための体制>
源氏物語登録推進委員会について
- 日本・米国・欧州の研究者でワーキングチームを組成して、ユネスコ「世界の記憶」登録基準に合う代表的な写本と源氏絵を選び、申請書作成作業を進めています。複数国の個人や団体が共同して、ユネスコ本部に直接申請する国際共同申請を目指しており、日本・米国・欧州の有識者で構成する任意団体[源氏物語 ユネスコ「世界の記憶」登録推進委員会](略称:推進委員会)が申請者になります。
わが国からは、東京大学・国際日本文化研究センター・青山学院大学・学習院大学・名古屋大学などの、源氏物語の文学と絵画におけるトップクラスの研究者を含む、多くの関係有識者の皆様に、推進委員就任の応諾をいただきました。海外からも、ハーバード大学・コロンビア大学・メトロポリタン博物館・フランス国立東洋言語文化大学(INALCO)・ケンブリッジ大学などにおける源氏物語研究の権威の先生方に、推進委員就任の内諾をいただいております。日本・米国・欧州の国際的有識者が協調して、「源氏物語」のユネスコ「世界の記憶」申請を提出するという、画期的な体制ができました。 <今回のリターン内容のご紹介>
▼リターンA
- ・「源氏物語」オリジナル切手<62円・1枚 台紙付き>
→2,000円 - 「源氏物語」オリジナル切手(切手台紙)
作品名:国宝 源氏物語絵巻 宿木 三 絵
作品名:国宝 源氏物語絵巻 宿木 三 詞1 (徳川美術館所蔵)
写真はイメージです。お客様に届くものと色やデザインに差異がある可能性がございます。ご了承ください。
表示価格は、税・送料込みです。 ▼リターンB
- ・「源氏物語」オリジナル切手<62円・1枚 台紙付き>
・香十 名私香 源氏物語の薫り
→5,000円 - 「源氏物語」オリジナル切手(切手台紙)
作品名:国宝 源氏物語絵巻 宿木 三 絵
作品名:国宝 源氏物語絵巻 宿木 三 詞1 (徳川美術館所蔵)
香十 名私香 源氏物語の薫り
名私香(めいしこう):名刺入れに入れて名刺に香りをつけるためのお香
写真はイメージです。お客様に届くものと色やデザインに差異がある可能性がございます。ご了承ください。
表示価格は、税・送料込みです。 ▼リターンC
- ・認定証 &「源氏物語」デジタルアーカイブにお名前が掲載される権利※
・香十 名私香 源氏物語の薫り
・「源氏物語」オリジナル手ぬぐい
→15,000円 - 香十 名私香 源氏物語の薫り
名私香(めいしこう):名刺入れに入れて名刺に香りをつけるためのお香
「源氏物語」オリジナル手ぬぐい
作品名:国宝 源氏物語絵巻 宿木 三 絵 (徳川美術館所蔵)
写真はイメージです。お客様に届くものと色やデザインに差異がある可能性がございます。ご了承ください。
表示価格は、税・送料込みです。
▼リターンD
- ・認定証 &「源氏物語」デジタルアーカイブにお名前が掲載される権利※
・「源氏物語」オリジナル切手<62円・1枚 台紙付き>
・香十 名私香 源氏物語の薫り
・「源氏物語」オリジナル手ぬぐい
→20,000円 - 「源氏物語」オリジナル切手(切手台紙)
作品名:国宝 源氏物語絵巻 宿木 三 絵
作品名:国宝 源氏物語絵巻 宿木 三 詞1 (徳川美術館所蔵)
香十 名私香 源氏物語の薫り
名私香(めいしこう):名刺入れに入れて名刺に香りをつけるためのお香
「源氏物語」オリジナル手ぬぐい
作品名:国宝 源氏物語絵巻 宿木 三 絵 (徳川美術館所蔵)
写真はイメージです。お客様に届くものと色やデザインに差異がある可能性がございます。ご了承ください。
表示価格は、税・送料込みです。 ※認定証 &「源氏物語」デジタルアーカイブのご説明
- 【認定証】について
リターンCもしくはDを購入いただいた方には、源氏物語登録推進委員会のサポーターとしての「公式認定証」をお送りいたします。
認定証は、下記を記載した状態でお届けいたします。
・認定証ナンバー
・お名前
※認定証のナンバーは購入の先着順になります。ご了承ください。
さらに認定証をお持ちの方への特典として、無事に「源氏物語」がユネスコ「世界の記憶」に登録申請された暁には、「『源氏物語』デジタルアーカイブ」のエンドロールへお客様のお名前が掲載される権利をご用意しております。
※登録申請の進捗状況につきましては、半年に一度、メールにてご報告させていただく予定です。
ご協力者の皆様のお名前が「源氏物語」とともに未来へと残ることになります。
この記念すべき取り組みの協力者として、あなたのお名前を残してみませんか?
【「『源氏物語』デジタルアーカイブ」】について
博物館・美術館・公文書館や図書館の収蔵品を始め有形・無形の文化財を、最先端のデジタル技術で記録するデジタルアーカイブの構築が進んでいます。本取り組みではユネスコ「世界の記憶」に登録する源氏物語関連文化財を後世に護り伝えるためにとともに、世界中のどこからでもインターネットを通じてアクセスできる「『源氏物語』デジタルアーカイブ」の公開を企画しています。各国・各地に広がる作品群の画像や多様な情報を一堂に集めて閲覧できるサイトを通じて、世界の人々に源氏物語の文化的・歴史的理解が深め、美の世界に親しんでいただくことができるようになります。
ただし、「源氏物語」がユネスコ「世界の記憶」に登録されなかった場合は、「『源氏物語』デジタルアーカイブ」の作成自体が不可能なため、上記の権利が行使されない旨、予めご了承願います。 <登録推進委員会からのメッセージ>
【高橋睦郎氏】詩人
それは、世界最初の大河小説
- 『源氏物語』は千年前、わが国の爛熟した貴族社会が産んだ、王族三代の貴公子たちの恋愛を経とした世界最初の大河小説。以後の文学・美術・工芸・芸能、生活全般に亘る美意識を培い、海外にも深い影響を与えつづけている。
【林原行雄氏】立命館大学客員教授、源氏物語登録推進委員会運営委員長
なぜ我々は源氏物語の「世界の記憶」登録を目指すのか
- 源氏物語は最古の長編小説の一つとみなされています。ただ古いというだけでなく、千年も前の日本の貴族社会における男と女の愛をテーマとしながらも、小説という虚構の中に、人間の愛情、美意識、心理を深い洞察と抒情性をもって描いています。その描写は、IT化が進む現代に生きる人々にも、日本人、外国人を問わず、深い感銘を与えているために、源氏物語は今日まで多くの世界の人々に愛読されているのだと思います。
源氏物語は日本が生んだ偉大な小説であり、ユネスコ「世界の記憶」に登録する日本の文化遺産として、誰もがまず源氏物語を頭に浮べる筈です。何故これまで源氏物語がユネスコ「世界の記憶」に登録されなかったのでしょうか。おそらく紫式部が書いた源氏物語の原本が現存せず、ユネスコ「世界の記憶」の重要な要件である真正性を充足しないと見做されたためではないかと思います。確かにユネスコ「世界の記憶」に登録されるのは真正な記録物に限られ、複製品や模造品の登録は認められておりません。しかしユネスコは中世の写本のように、原本は存在しなくとも、それが歴史上独特の際立った特徴を持つ記録物は、真正性を満たすとしており、事実として、御堂関白記のように、登録26物件のうち自筆本は14件で、古写本12件が認められているなど、幾つか先例があります。
写本だからと言って不適格になる訳ではありません。さらに源氏物語絵巻を含む多数の優れた源氏絵があります。源氏絵は、小説源氏物語の描写を、絵画と詞で表した日本独特の文化財であり、それぞれの作者が自ら描いた真正な記録物です。このような考え方から、我々は世界に散在する重要な源氏物語の写本と源氏絵を、一括してユネスコ「世界の記憶」に登録しようと、日本のみならず海外の源氏物語研究に携わる先生方に呼びかけましたところ、多くの先生方から是非進めようという積極的な賛同意見を頂きました。
日本が誇る源氏物語を、世界の源氏物語研究の権威の先生方が協調して申請することで、本プロジェクトの意義が一層深まったと考えております。源氏物語のユネスコ「世界の記録」登録を機に、誇るべき日本文化の世界に向けての発信を、さらに高める大きな契機になることを願っております。